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流通在庫

流通在庫が問題になるのは、生産財よりも消費財で、高額商品よりも低価格商品で、革新的商品よりも機能商品で、見られる現象である。
 
この商品の特長は、同一機能の商品を多くのメーカが供給しているため、目先だけでも差別化をしたいために多品種になりがちで、かつ、価格競争が激しいため、利幅が少ない、反面、値下げすれば販売できるので、ローリスク・ローリターン型のビジネスモデルになる。
 
ここでの成功要因は、製品のコストダウンだけではなく、在庫費用や販管費などの間接コストを最小限に抑制することも同様に重要になる。
 
ただし、流通過程の在庫も把握した上で、計画を立案したいと考えるのは、メーカの発想である。
小売側では売れ筋商品の把握による品切れや過剰在庫の防止に注力するので、メーカ側の在庫には興味がなく、注文したら即納されるのが望ましいと考えるだけである。
 
したがって、流通過程の在庫も含めてサプラーチェーン全体の在庫最小化を目指すのは、メーカ側が力を持っていて、サプラーチェーン全体に影響がある場合が多い。
 
流通経路が長ければ長いほど、流通在庫が増加するばかりではなくて、実際の需要が増幅して、伝達される。これを防止するには、メーカと流通業者が協力して在庫情報を提供しあってサプラーチェーン全体計画を立案することが望ましいし、一部では試行されている。
 
究極の流通在庫の削減は、小売と生産を直結するか、もしくは、通信販売やインタネート販売のように流通経路を割愛した直販モデルになってしまうかもしれない。

流通経路が多段階になるほど市場の需要の増幅されて伝達される。これは製造過程が、材料メーカから製品メーカまで垂直分散されるケースでも同じ事が発生している。
 
例えば、部品メーカは、市場の需給が逼迫してくると、仮需要が発生して、メーカ側も早めに発注するようになる。逆に、市場の需給が緩んでくると、部品入手が容易になるので、確定需要の部分しか発注せずに、追加需要があればその都度発注するので、短納期での発注が多くなる。
 
過去の例をみても、数年に一度は部品の入手難が発生している。例えば、携帯電話の増産時期などは、チップ部品全般が品薄になることもあった。そのときは、入手難が永続的に続くような議論が多く言われるが、実際には1年以上もつづくことなどはほとんど起きていない。
 
需給が緩んでいるときにも、逼迫しているときにも、それぞれに問題があるが、特に在庫の観点で問題になるのは、その変化の過程で発生する。
需給が逼迫した時期では、発注する場合、実需以上に発注していることが多いので、需給が緩んだとたんに在庫過剰が発生する。
 
それが流通の各段階で発生するので、サプライチェーン全体では、相当に大きな在庫が積み上がり、在庫調整が終わるまで、部品メーカには発注されない事態が発生し、部品メーカとしては大変難しい局面になる。
 
最近はサプラーチェーンが導入された企業では、在庫が削減され需給ギャップによる在庫が過剰になることがないと、言われているが、実際には、上記で述べたように、垂直分散された企業間でサプライチェーンを導入しない限りは、在庫問題の解決にはならない。
 
現在までのサプラーチェーンの多くはまだ、企業内のインターナルサプラーチェーンが多く、需給バランスの変化したときに、在庫の過剰を防止することが出来ている企業は多くはない。
 
市場の実需を把握することが、在庫過剰の防止になることは明白なことではあるがなかなか実現できない。これには、企業を超えた情報システムの連携が必要のなるのだが、企業間の双方の利益にならない限り、情報を提供したがらないからである。
 
小売側が売れ筋商品の情報をメーカ側に提供するということは、メーカ側から見ると、競合商品の売れ筋も分かってしまうことにもなりかねない。
一部では、小売側が販売情報を有償で提供しメーカが購入する、その見返りにメーカは自身の在庫削減と、小売側への商品の品切れ防止に役立てることが試行されようとしている。
 
もしくは、サプラーチェーンの中で力を持っている企業がリーダシップを発揮して、サプライチェーンシステムの構築を試みているケースも見られる。いづれにしても、各企業でのチャレンジ過程での試行の域をでていないので、今後、解決されるべき課題になっている。