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生販統合

生販統合の業務運営とは、営業が工場の情報を使って、お客様への情報提供をしたり、工場がお客様の変更情報を即座に生産に反映できるものと考える。生販統合の仕組みでは、以下に述べる方法が必要だろう。

 
■ 需要変動を生産に反映する

最近の市場は変化が多く、変わらない事柄は唯一、「常に変化がある」ことだとも言われている。とすれば、新製品の売れ行きが予想を超えることや、下回ることは常に起こると、考える必要がある。
 
前述のように「予測はあたらない、だから、需要変動に追従できる仕組みが重要」になる。予測が外れたときに犯人探しをするよりは、これから、どのようにリカバリーすべきか考える方が、前向きな議論が出来る。
 
とはいっても、生産側にもさまざまな物理的な制約条件もあるので、需要変動を即座に生産だけで対応することは困難だ。したがって、営業と生産がERPの情報を活用して、お互いの状況を把握することによって共通認識をもち、需要変動に対応するアクションについての合意の形成が必要になる。
 
例えば、緊急の注文が入ったときなどで必要な合意の形成は、次のようなものがある。その注文に対応することが今後のビジネス上でも重要であるとの認識の合意、在庫の引当状況について共通認識、引当替えをした場合の影響についての合意、などである。

 

■ 販売-在庫-生産の需給関係を一元管理する

営業と生産がお互いの情報を持ち寄り一元的に管理すると、共通認識をもつことが出来るようになる。営業が工場に生産を指示し生産を開始するという事例で考えてみる。
 
営業が工場に生産指示をしたものを作るのであれば、販売が予想を下回った場合の在庫責任は営業であって、工場責任ではない、という言い方がある。
 
工場は指示された製品を、必要な時期に作るのがミッションであり、その結果、在庫になったものは、営業責任だという考え方である。逆に、この場合の在庫の責任を生産側にすると、営業からの生産指示があっても在庫があれば、指示を無視して生産しないことになると同時に、営業もあまり吟味しない生産指示をしてしまう、というものだ。
 
このようなケースでは営業にも不満が生じる。変化が多い市場なので、翌月の見通しならある程度の精度で出来るが、3ヶ月先も先のことは分からない。にもかかわらず、工場のリードタイムが長いために、無理にでも長期的な予測を強いられ、予想が下回れば在庫責任を問われるし、予想を上回れば在庫が不足して欠品が生じてしまう。
 
営業も工場もお互いに相手の責任を言い合っても問題はなにも解決しない。
 
在庫が増大すればキャシュフローの悪化を招くなど、企業全体の問題なのであって、「誰が悪い」という類の問題ではない。生販が、お互いの状況を把握し共通の認識とするには、営業の販売計画と、工場の生産計画、その結果の在庫の推移を一元的に管理するのが良い。
 
販売も生産も、月次及び週次の計画で行う。営業から生産計画に対する生産実績の達成度を検索できると同時に、工場からも販売計画に対する受注実績や販売実績も検索を可能にする。
 
販売も生産も計画と実績の差異が分かるようにすることで、在庫増大の原因が販売の落ち込みか、あるいは、生産の前倒しによるものかが分かるようになる。
 
そして、その結果の将来の有効在庫の推移も表示する。このような情報を営業と工場で共有することで、起きてしまった結果の犯人探しよりも、これからの在庫推移予想(多すぎる、もしくは少なすぎる)をどのように対応するかの議論ができるようになる。
 

■ 販売計画と実績の差異を、生産に反映する

販売計画と実績が乖離した場合、その差分を次の生産計画に反映して調整するのが一般的な方法だ。ただし、生産にはある程度の生産確定期間が必要であり、かつ、計画にはサイクルがあるので、計画・実績の乖離分を直ちに生産に反映することは困難で、実際にはタイムラグが発生する。
 
この時間を少なくするために、計画サイクルを短縮する方法(次項参照)や生産確定期間を短くする努力が、各企業で行われている。生産確定期間とは、生産計画を変更できない期間ことで、部品入手時期、段取り・次工具などの生産準備や作業順序計画の都合で、直近の生産計画が変更できないために設ける期間のことをいう。
 
この確定期間は生産の都合の良いように解釈され、拡大して運用されるケースが多いので要注意である。
 
種々の条件があるにせよ、例えば、生産の増加と減少では、最短で対応できる期間は異なるはずであり、数量によっても異なる。例えば、少量の取り消しなら翌日での対応も可能であるが、大量の数量減では生産機種の入替が必要で、すぐには対応が困難である。
 
ある企業の例では、生産数量としての生産枠は1ヶ月前に確定するが、生産する仕様(どの機種を作るか)は1週間前に決定するようにして、市場変動になるべく早く対応しようという試みも見られる。